三たん地方開発促進協議会
 
◆ コラム ◆
素材辞典 丹後和紙の楮

 良い紙を漉くにはまず良い原料を得ることが必要です。原料は、かつて大江山一帯で栽培していたコウゾ(楮)を使ってきました。しかし、その数も年々減少し、最近では栽培農家に委託して町内の畑で栽培されています。  楮は十二月に刈り取り、一メートル程の長さに切りそろえます。大釜に入れて蒸し、木と皮を剥がして皮を一年分貯蔵しておくためにカラカラに乾燥させます。必要な時に必要な分だけ倉庫から取り出し、川に一昼夜さらしてアクを抜き、ソーダー灰で柔らかくなるまで炊き出してから紙を漉きます。

 最近では、フィリピンやタイなど気候の温暖な地域で大量に栽培されていますが、暖かいと成長も早いので繊維が長くなります。繊維が長くなるということは粒子は粗いわけですから、漉いたときにゴワゴワしたものになります。その点、大江町で栽培された楮は、栄養が行き届くように芽かきをして十分な日光を浴びて育っていますので、繊維が細かく良質の楮が栽培できるのです。

 「楮は深く根を張りめぐらせる性質があるので、岸が崩れないように畑一面に栽培されていました。畑には作物を作っているのでそれなりに栄養分もあります。その栄養分を吸って良質の楮が栽培できるのです」。

 大江町産の楮は繊維が短いので、紙が柔らかいのが特徴。とりわけ田中さんの漉く紙は全国的にも評価が高く、文化財の修復にも一役買い、金閣寺や建仁寺の内張りなどにも使われています。

現在は田中製紙工業所だけが大江町の伝統産業として、書道や水墨画の用紙、障子紙などのほか、ちぎり絵や紙人形など民芸紙の製造も行っています。
河守上地区(北原、二俣、天田内、高津江)に残る記録では、江戸時代には優良な和紙が生産され、半紙を年貢として宮津藩に納めていたとされています。

 

【楮(こうぞ)】
 
 楮はクワ科の落葉低木で、成木は三メートル近くになります。葉は広卵形で雌雄同株。春、薄黄緑色の小花がつき、六月頃キイチゴに似た実が赤く熟します。樹皮の繊維は太くて強靱なので、障子紙、表具用紙、美術紙、奉書紙などの紙の原料に適しており、現在、日本の和紙のほとんどが楮からつくられています。
田中製紙工業所
田中 正晃氏(左)・
    敏弘氏(右)
田中製紙工業所
〒620-0324
京都府加佐郡大江町二俣1321
TEL 0773(56)0743

 

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