電灯が普及した現代においても、丹後地方では、おもに秋祭りや正月など、各家の軒先に提灯の明かりを灯す習慣があります。「提灯の明かりは『お灯明をあげる』と言いますが、こうした季節の折り目に無事息災を先祖や神にお祈りするということでしょうなぁ」。と語る吉岡喜一郎さんは提灯一筋60年のベテラン。
秋になると自ら山へ入り、竹を切り出します。1本の真竹からわずか3個の提灯しか作れませんが、それでも昔ながらの素材にこだわります。
竹を細かく削って提灯の骨を作り、型に入れていきます。骨組みが完成したら骨に1本ずつ糸をかけ、型崩れを防ぎ提灯を丈夫にします。
吉岡さんの手作り提灯は、こうした昔ながらの誠実な提灯づくりに定評があり、丹後地方の神社や寺院はもとより京阪神からの制作依頼が跡を絶ちません。
和紙越しにやわらかい光を放つ照明。吉岡さんの作る提灯には人の心を和ませる魅力があります。
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