【作り方】
とちを水につけて一晩置き、湯で温めながら皮をむく。川水に一週間さらしたあと煮て、水でこねた木灰の中につけてあくを抜く。川で灰を流す。もち米と蒸し、きねでつく。
とちのあくの抜き方が難しく大変手間がかかる。方法は地方によってさまざまだが、但馬では落葉樹の木灰が一番よいとされる。昔はそれぞれの集落で村の山に弁当持ちでとちの実を拾いに行った。正月やひな祭り、新嘗(にいなめ)祭、祝いごとにはつきもので、不作の年にはごはんの代わりにもした。小豆あんを包むか、ぜんざいに入れるとおいしく、何ともいえないとちの香りがくせになる。今はあく抜きから始める家庭は少なく、温泉町では年末になると灰汁抜きの済んだ実がスーパーに並ぶ。