三たん地方開発促進協議会  
伝統儀礼とハレの食卓 但馬
生育儀礼と祝いの膳 山の神 [但馬・竹野町]

山の神
【山の神とは】
山の神はわが国でもっとも古い民俗神のひとつで、その性格には二つの系統があるとされる。一つは木地師、炭焼き、猟師など、山を生活の場としている人々が信仰する山の神で、もう一つは稲作民が信仰する山の神である。信仰する民の相違や他の風習とのかかわりの中で、山の神は女性であるという伝承、あるいは春になると里に降りて田の神となるという伝承など、山の神ははさまざまな性格をまとい複雑化しているが、根源となる万物を育む生産神の性格は失われていない。

◎伝承者 笠浪幸右衛門さん
(竹野町羽入・大正9年生まれ)

 「山の神」の祠(ほこら)は高さ50cm程の長円形の自然石で、村境を流れる小川のほとり、羽入地区側の田の畔に二基まつられている。この行事は戦前まで毎年2月9日に行われていた。行事の主役となるのは、昨年生まれた長男である。この日の朝、当屋の家に村の若い衆が集まり、各家から集めた藁束で長さ3〜4mほどの蛇の形をしたガンダ綱というわら綱と注連縄をなう。これを寺からいただいた御幣(ごへい)とともに竹竿の先端に挿し、大人に抱かれた赤子を先頭に地区の子ども達が隊列をなし、「やまのかみなぁ こぶくって ちあまいりおみきまいりなあ」と唱えながら村内を練り歩き、山の神の祠に向かう。山の神にはお神酒、赤飯、ハタケモチを供え、ガンダ綱と御幣を小川に流す。「ガンダ」とは「神蛇」のことであり、この行事は年の始めに村境に縄を張って厄災の侵入を防ぐ勧請縄(かんじょうなわ)の習俗と山の神祭祀と神送り、さらに新成員としての赤子の生育儀礼が習合したものだと考えられる。

 行事が終わると、当屋の家に戻り、長男を上座に皆で会食した。大根やにんじん、ごぼうなどを薄く切って煮込んだケンチャンや、白餅を繭型(まゆがた)にこねて作ったハタケ餅、餅米に小豆をまぜてせいろで蒸しあげた赤飯を食べ、村の安泰と、子どもの健やかなる生育を願った。


   
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